「私、酷いことされたんです。」
こんな訴えをする人の話をたくさん聞いてきた。
その時は自分も気づいていなかったのだが、酷いことをされたと声高に言う人の傾向がある。
つまり、自分が誰かに対して酷いことをしているのだ。
例えば、Aさんがお金を返してくれないと思っているBさんががいるとする。
AさんとBさんとの関係だけで言えば、BさんはAさんから酷いことをされたと言えるかもしれない。
しかし、Bさんの行動をよくよく聞いてみると、Bさんは別の形でCさんに酷いことをしていることがある。
これを「因果応報」という人もいるだろう。
「原因と結果の法則だ」という人もいるだろう。
結論だけを言ってしまえば、その通りだ。
ただ、重要なのは、Cさんに酷いことをしているとBさんが全く気付いていないことだ。
Bさんは、Aさんとの関係だけにフォーカスしているので、自分がCさんにしてきたこと、それ以外にもしてきたことさえも思い出せないのだ。
Cさんに対してしてきたことに気づいていないのだから、Aさんとの関係も良い方向に向かうわけがない。
だから、自分がされた酷いことだけ気になってしまい、自分が被害者になっていると主張するのだ。
この癖があるととても辛い。
いつまでも自分が被害者でいるのだから、周りは加害者だらけだと思い込んでしまうことになる。
仮に、裁判になって弁護士へ依頼して、事件としては解決したとしてもAさんに対する思いは何も変わらない。
「Aは何て悪い奴だ。裁判にまでさせやがって!」
Aさんに対するネガティブな思いは、良くなるどころか逆に悪い方向へ強化されてしまうことになる。
こうなったら見つめ直すのは一苦労だ。
もしかしたら、一生気づけずに終わってしまうかもしれない。
そんなことにならないように、もし自分が酷いことをされたのであれば、自分も誰かにしてしまっていないか思い出すことだ。
思い出せれば、自分の行いを反省もするし、謝るチャンスが訪れるかもしれない。
そのチャンスが来たら必ず活かそう。